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2011年7月12日火曜日

来年まで待たず、不活化推奨

  不活化ポリオワクチンの予約を開始しました。

  日本では、ポリオ(急性灰白髄炎)の予防接種は経口生ワクチンにて行われていますが、ワクチンによるポリオの発症(ワクチン関連麻痺VAPP)の報告があります。

  第169回国会(常会)での福田内閣総理大臣の答弁(答弁書第六三号、内閣参質一六九第六三号、平成二十年三月十四日)(1)によると、
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  予防接種健康被害認定審査会において生ポリオワクチン接種後に麻痺を発症したと認定された事例は、平成元年度以降八十件であり、また、同審査会において生ポリオワクチンを接種された者からの二次感染と認定された事例は、平成十六年度以降五件である。
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  経口生ワクチンを接種する以上、たいへんまれですがVAPPが起きてしまう可能性はあります。

  海外ではVAPPがおこらない不活化ワクチンが広く導入されています。日本でも、来年度の導入が検討されています。導入されれば、ポリオ予防接種はすべて不活化ワクチンになるでしょう。

接種は控えないこと

  それでは、来年まで接種を待ったほうがよいのでしょうか?

  接種を控えると、今度は経口生ワクチンによる二次感染の危険性があります。国内で経口生ワクチンを続けている現状では、接種を控えるのは問題があります。いずれかのワクチンを必ず受けてください。


  不活化ワクチンは4回接種が原則です。しかし、費用の自己負担が大きくなるため、経口生ワクチンから不活化ワクチンへの移行期には両者の併用接種がWHOからも推奨されています(sequential IPV/PV)。

接種スケジュールの基本

◆不活化ワクチン4回接種(CDC方式)
1回目 生後2か月(または任意の時期)
2回目 4~8週後
3回目 1歳~1歳半(または2~14ヶ月後)
4回目 4~6歳

併用接種

1回目 不活化ワクチン、生後2か月(または任意の時期)
2回目 不活化ワクチン、4~8週後
3回目 生ワクチン、2~6か月後
4回目 生ワクチン、4~6歳


併用接種とは

  併用接種は、不活化ワクチンを2回接種してから、通常の経口生ワクチンを2回接種するという方法です。

  併用接種はVAPPを完全に予防するものではありませんが、経口生ワクチンのみと比べて50~75%発症予防効果があるとされています(2)。

  米国では1997~1999年の移行期間に、経口生ワクチンで13人のVAPPが発症したのに対して、併用接種では発症がありませんでした(3)。不活化ワクチンへ完全移行した2000年以降はVAPPの発症はなくなっています。

  併用接種のメリットは、不活化ワクチン4回接種に比べて自己負担が少なくてすむことです。(2回で1万4千円程度を予定しています。)


  武蔵国分寺公園クリニックでは、標準接種の接種のほかに併用接種にも対応します。現在、予約を受け付けております。接種時期は8~9月を予定しています。ぜひご検討ください。

  ご予約はお電話 042-320-4970 まで。

参考文献
(1) 第169回国会(常会)、答弁書第六三号、内閣参質一六九第六三号、平成二十年三月十四日
  http://www5b.biglobe.ne.jp/~polio/archive/169kokkai.pdf [PDF]
(2) Poliomyelitis prevention: recommendations for use of inactivated poliovirus vaccine and live oral poliovirus vaccine. American Academy of Pediatrics Committee on Infectious Diseases. Pediatrics. 1997 Feb;99(2):300-5. PubMed PMID: 9024465.
(3) Alexander LN, Seward JF, Santibanez TA, Pallansch MA, Kew OM, Prevots DR, Strebel PM, Cono J, Wharton M, Orenstein WA, Sutter RW. Vaccine policy changes and epidemiology of poliomyelitis in the United States. JAMA. 2004 Oct 13;292(14):1696-701. PubMed PMID: 15479934.

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